題名

ある日、診察室で患者が医師に言いました。

特集2
方言の痛み表現を知る
コラム
01
所属
国立国語研究所
氏名
竹田 晃子

痛みを表す方言オノマトペの例

『東北方言オノマトペ用例集』から、いくつか紹介してみましょう。

いかいか:
するどく刺すように痛むさま
ざきっ:
悪寒がして気分が悪いさま
どもっ:
腹部や胸部が不快な感じ
はかはか:
動悸で胸が苦しいさま
ぶふぶふ:
柔らかく腫れるさま
わっくわっく:
体が小刻みに震えるさま

 身体部位や症状・感覚を表す語彙も必要だという現場の看護師・医師からの意見を得て、次のような語も掲載しました。

 大学でこの話をしたところ、学生が、お母さんが足首を痛めたので外科に行き、「高い所の物を取ろうとしてオッタんです」と言ったら骨折と誤解されて大事になったという体験を教えてくれました。オッタは「落ちた」を意味する関東・中部地方の方言ですが、千葉の病院では通じなかったようです。逆に、岐阜の病院に通う知人は、看護師や医師、薬剤師の方言がわからず、何度も聞き返してようやく意味を理解しているそうです。
  方言は、地域で暮らす人の生活を支える母語です。方言をなくすのではなく、方言を使う人と使わない人とが互いの立場を尊重しながら、必要に応じて意思の疎通を円滑に行うことができる社会を目指して 、医療現場の協力を得ながら、この問題に取り組みたいと考えています。

 

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